はじめに
一般論として、女優の一つの理想形は「透明感のある女優」だと言われています。
一方こちらは tumo.jp の個人的な意見ですが、プログラマの一つの理想形は「透明感のあるプログラマ」だと思っています。
実際に開発の現場で働くとわかるのですが、プログラマというのは結構主張の強い人間が多いです。 自分が正しいと信じて疑わない、ある種の傲慢さを持った人間が集まっているといっても過言ではありません。
しかし、そんな現場でもだいたい30人くらいに1人～2人の割合で、きわめて主張の強くない開発者がいます。
しかも主張が強くないにもかかわらず、仕事の方は不思議とこの人の思った通りに進んでいくのです。
結果、彼は仕事ができます。誰かとぶつかることもなく、静かに黙々と仕事を進めていきます。
私はこういう開発者のことを、勝手に「透明感のあるプログラマ」と呼んでいます。 そして、勝手に「これがプログラマとしての理想形だよなあ」なんて考えたりもしています。
本日はそんな「透明感のあるプログラマ」について語ってみたいと思います。
コンテンツ
1. 透明感のあるプログラマの特徴：見た目編
透明感のあるプログラマというのは、見た目に特徴があります。ものすごく簡単に言うと＜量産型の理系人間＞みたいな見た目をしています。 具体的な特徴は以下の通りです。
- メガネをかけていて、やせ型であることが多い
- チェック柄のネルシャツを着ていることが多い
- 基本的にゆっくり動く
メガネをかけていることが多く、やせ型であることが多い
理系人間といえばやはりメガネです。これは古今東西の共通認識ではないかとまで思っています。アメリカでもインドでもエジプトでもそうです。（根拠なし）
また筋肉質かやせっぽちかといえば、やせっぽちの方がしっくりくるでしょう。
ちなみに tumo.jp はやせ型ですが、視力は良い方です。 20代の頃は透明感を出したくて、ダテメガネをかけて出社したこともありました。効果はありませんでした。
チェック柄のネルシャツを着ていることが多い
理系人間の服装といえば「チェック柄のフランネルシャツ」と「ネイビーデニム」ではないでしょうか。 これはプログラミング言語TEMPを開発したジョセフ・マクイーディー氏の1949年のスタイルが元になっていると言われています。（←ウソです）
ちなみにデニムに関しては、「ネイビーデニム」の他に「ブラックジーンズ」も可となっています。 色落ちやダメージはほどほどであればOKですが、目立っていたり、「オシャレだね」と言われるレベルだとNGです。
基本的にゆっくり動く
例えば机の引き出しを開けてペンを取り出すという動作をする時に、ガッと引き出しを開けてバンッとしめるようなことはありません。 そっと引き出しを開けてペンを取り出し、音もなく引き出しをしまいます。
これはおそらく、慎重派の性格が影響しているのではないかと個人的に予想しています。
「思い立ったら即行動」ではなく、「一度じっくり考えてから最適な判断を」というタイプなのです。
結果、彼がコーヒーを口に運ぶ時の仕草さえ、春の湖を泳ぐ水鳥のように優雅になります。
2. 透明感のあるプログラマの特徴：人間性編
透明感のあるプログラマというのは常に謙虚です。そして謙虚でありながら、自分の芯をしっかりと持っています。 そんな透明プログラマの人間性の特徴をまとめてみました。
- 世俗のものにあまり関心がない（ように見える）
- 物腰がやわらかで、声が優しい
- ときどき他人を褒める
世俗のものにあまり関心がない（ように見える）
無駄な欲がないというのは、人間全般にとって一つの美しさの象徴です。 スポーツでも芸術でも、何か一つの世界に集中している人は美しく見えるものです。 それを言語化するならば＜濁りのない透明な美＞とでもなるでしょうか。
透明感のあるプログラマの究極は、無趣味だと思います。休みの日は水を飲み、木や小鳥と会話する。
もっともこの令和という時代、そこまで徹底して無欲の人間はさすがにいないと思われるので、少しは趣味があってもOKとしています。
「〇〇さん、趣味は何ですか？」
「囲碁です」
「〇〇さん、休みの日って何しています？」
「山登りです」
こういう回答が理想的です。
物腰がやわらかで、声が優しい
透明感のあるプログラマはケンカをしません。
ケンカの種も作らないし、ケンカを買うこともありません。
他人の悪口は絶対に言わないし、誰とでも分け隔てなく接します。 何か強い意見をぶつけられた場合でも、まず「そうですか」と一度受け入れます。 人間ができてますよね。
またこういう人は不思議と声が優しいです。 彼はいつも壊れやすいガラス細工を取り扱うように、優しくささやくような声で他人と話します。 透明感のあるプログラマの半径2メートル以内には、慈愛の粒子が満ちているのです。
ときどき他人を褒める
透明感のあるプログラマは、あまりお世辞を言いません。 基本的に本音しか語らないのだと思います。
これは実際にやってみようとするとわかるのですが、本音しか言わないとなると、人間は自然と無口になります。 そういうわけで、透明感のあるプログラマは基本的に無口です。
ただし、ときどき「いいな」と思ったものがあった場合は、「これはいいですね」とまっすぐ褒めます。
当然褒められたモノ・コト・ヒトはとても喜びます。
「〇〇さんに褒められた！」
そんなことは普段めったにないからです。
あなたはいま、モノは喜ばないんじゃないですか、と思いましたか？
私は先日、ある消しゴムが「この消しゴムはいいですね」と褒められて、ウキウキしているのを目にしました。
無機物の感情さえ動かす、それが透明感のあるプログラマの力です。
3. 透明感のあるプログラマの特徴：仕事編
最後は仕事編です。透明感のあるプログラマの仕事の特徴をまとめてみました。
- キーボードをタイプする音が静か
- 質問すると、丁寧に回答してくれる
- 障害が発生して彼に相談すると、なぜかトラブルが片付く
キーボードをタイプする音が静か
透明感のあるプログラマはキーボードをバシバシたたいたりしません。 キーは叩いたり押したりするのではなく、触るような感覚でタイプします。 また予測変換や自動生成を駆使してコードを書くので、タイプ数自体も最小限になっています。
■NGのイメージ
バタバタバタバタ、バタバタバタバタ、バン！（Enterキーの音）
ガガガガガ！（Deleteキーの音）
ドドドドドドドドド、バン！
■OKのイメージ
パタパタ、パタパタ......（考えている時間がある）......ポンッ。
クッ、クッ、クッ（選択範囲が広がる音）
テテテ、パフ。（一括置換）
質問すると、丁寧に回答してくれる
透明感のあるプログラマというのは基本的に優しいので、困っていると助けてくれます。
新人が「ここの実装がよくわからないんですけど」と質問しても、「こういうことだよ」と優しく回答してくれます。
しかしそんなことをしていると、まわりの人間からの質問攻めにあって仕事が進まないのではないか、と心配になるかもしれません。
実際に少しそういう傾向になることはあります。
そんな時はたいていまわりがフォローします。 「〇〇さんは忙しいから」とか「まずここのドキュメントを読んでみようか」といった感じで、率先して周囲の人間が捌きます。 また全体の雰囲気で、些末な質問すること自体憚られる、という状況が作り出されるのも、よく見かける光景です。
こんな具合で「透明感のあるプログラマは質問すると丁寧に回答してくれるけれど、結局そんなに質問されずに透明感を保つ」という状況を作り出すことができるのです。
障害が発生して彼に相談すると、なぜかトラブルが片付く
透明感のあるプログラマは基本的に仕事ができるので、この人と一緒に障害対応をするとたいてい仕事が片付きます。 自分たちのチームで対処しきれない問題が発生した場合でも、別のチームの彼のところに相談するという最後の手段が残されています。
またこれは稀に起こることなのですが、コンピュータまでもが彼にひれ伏すという不思議現象が発生することがあります。
何度やっても同じエラーが発生して、いよいよ〇〇さんのところに持っていくしかないとなって、「〇〇さん、すみませんがこれこれのエラーで困っていて」と彼の前で状況を説明しようとすると
「あれ、エラーが発生しない！？」
となるのです。
これは透明感のあるプログラマのあまりの徳の高さに、コンピュータまでもがひれ伏した現象だと tumo.jp は個人的に解釈しています。（※）
※注意
プログラマはコンピューター上で発生する事象は基本的に全て説明できなければなりません。
上記のようなオカルトな解釈は、プログラマとしてあるまじき行為なので、決して参考にはしないでください。
さいごに
胸元に手を伸ばすと、手がそのまま突き抜けてしまうような、透明感のあるプログラマ。
その所作の一つ一つは、ある種のプログラマ・イデアを具現化しています。
イデアとの一致率が高いために、透明に見えるのです。たぶん。
もっともこれまで透明感のあるプログラマについて語ってきましたが、透明感は全然なくても魅力的なプログラマはたくさんいます。
例えるなら個性派女優。バリバリに色のついた役者だって、舞台には必要です。
何を隠そう tumo.jp もその昔、透明感のあるプログラマに憧れていた時代がありました。しかし、今ではさっぱりあきらめています。（そもそも文系だし） 現在は自分なりのプログラマ像を探している毎日です。
あなたはどんなプログラマを目指していますでしょうか？
最後までお読みいただき、ありがとうございました。